スズキ家の母です。5月11日の日曜日、お友達に誘われてさいたま市緑区の鷲神社へ行きました。市指定無形民俗文化財「
南部領辻の獅子舞」を見学に。5月だというのに日なたは日差しが強くて暑い日でした。ふぅ、到着!
笛の音が聴こえ、いよいよ獅子舞の開始です!
南部領辻の皆さんはもちろん、カメラを持ったたくさんの観光客が見守る中、戎(えびす)を持つ天狗を先頭に、弓持ち、御幣(お守り)を持つ世話人、太夫(大獅子)・中獅子・女獅子の3頭の獅子、花笠をつけた笛方など計10人の一行がゆっくりと境内に入ってきました。
「南部領辻の獅子舞」は、笛と簓(ささら)竹製のメロディと太鼓に合わせて舞うダイナミックな舞。竜が天を舞い、地を這うような舞であることから「竜頭の舞」というのだそうです。
その歴史は古く、今から900年くらい前のこと。兄の八幡太郎義家(源 義家)が奥州討伐の後に苦戦しているのを心配して助けようと奥州へ向かった武将で笛の名手である弟の新羅三郎義光(源 義光)が、南部領辻で兵士の士気を高める為に神楽(獅子舞)を鼓舞し奉上。その舞を土地の者が習い覚えて舞ったのが始まりなのだそうです。ところが昭和45年5月の獅子舞を最後に「南部領辻の獅子舞」は途絶えてしまいます。その後、復活の声が高まり「南部領辻の獅子舞保存会」が結成されて、30年ぶりに復活。今に至るのだそうです。
「這うように地面近くまで体を下げて踊るのがうまい獅子なんだよ。竜だからね。」とは地元の方。女獅子の優美な舞「かんだし」や三頭で勇壮に舞う「かくれんぼ」「けんれろ」、太夫が無病息災を祈り御幣(お守り)を振り続け、おひねりが投げ込まれる「お神楽」など17もの舞が披露されました。頭を振り、体全体をダイナミックに動かす舞は迫力満点でした。
境内での舞を見終って帰ろうかと歩いていると、地元の方から「村まわり見ないの?」と声をかけられました。「村まわり」とは、獅子舞の一行が天狗を先導に地域内を練り歩き、庭先で太夫獅子がお守り(白幣)を振って無病息災を祈願してお祓いをするものなのだとか。
「今は、組の当番の庭先を回るようになったけど、昔は全ての家を回っていたんだよ。最後の家を回り終えると、空が明るくなるような時間でね。」と懐かしそう。
「みんなで力を合わせて村から悪いものを追い出そうとする。こういう行事を通して一体感が生まれて、鍵などかけなくても安心して暮らせる環境を作っていたんだろうね。」との言葉に、ドキリ。
安心して暮らせる街にするためには、やはり人と人とのつながりが大事なんだなあと考えさせられた見学でした。