希望(ゆめ)を未来へつなぐ道 浦和美園ー岩槻地域ガイド

Blog
浦和美園~岩槻 暮らしの日記帳

浦和美園地域にある浦和大学"親子のひろば「ぽっけ」"ってどんなところ?

2024.03.04

浦和美園駅からバスで5分ほどの場所に浦和大学がある。キャンパス内の「こどもコミュニティセンター」から、元気の良い乳幼児の声が聞こえてきた。"親子のひろば「ぽっけ」"である。
大きな窓から緑いっぱいの庭と木々が見える部屋で、子どもたちは楽しそうに遊んでいる。その姿を見ていると思わず笑みがこぼれてくる。

20240304_1.jpg
大学案内のパンフレットより

こどもコミュニティセンターのセンター長である大久保秀子(おおくぼひでこ)先生と、保育士の保泉幸子(ほいずみさちこ)先生に"親子のひろば「ぽっけ」"のことや「家族支援」についての想いを聞いてみた。

20240304_2.png


親子のひろば「ぽっけ」ってどんなところ?

「ぽっけ」は、3歳未満の子どもが親子で訪れ、ベテランの保育士やこども学部の先生、学生たちに見守られながら、安心してのびのび遊べるひろばである。
2007年に週1回の実施から始まった。コロナ禍前は週に3回の開室だったが、現在は週に2回、10時半から12時の午前中に開催されている。

「ぽっけ」は、事前に申し込みをして参加するシステムである。継続して参加する親子も多い。都合や体調に合わせて参加することができる。
浦和美園はもちろん、さいたま市内、川口市、草加市など各地からの申し込みもあるそうだ。
訪問したこの日は、1か月から7か月の赤ちゃんを含む3歳児までの親子が10組ほど集まっていた。保護者は、お母さんだけでなくお父さんの姿も。
初めと終わりの10分は、歌を歌ったり、保育士さんが絵本の読み聞かせをしたり全員で過ごす。そのほかの時間はそれぞれが好きなおもちゃで遊んだり、おしゃべりをしたりして自由に遊ぶ。

広いスペースで走り回れるし、絵本やおもちゃなどがたくさん並んでいるのも魅力的‼
家庭では揃えられないようなおもちゃ、ボールプールのような大きな遊具がある。
これまでは木製のおもちゃがたくさんあったが、コロナ禍で、消毒や除菌しやすい素材のおもちゃへ切り替えるようにしているのだそうだ。しかし、やはり木製おもちゃの温かみも大切にするため、木製おもちゃも増やしているとのこと。


大学案内のパンフレットより


「ぽっけ」の目的や背景は?

"親子のひろば「ぽっけ」"は、こども学部ができた時に、学内で3歳児未満の子どもや親子と触れ合う「家族支援」の場として設置された。
カナダにあるTMU(トロントメトロポリタンユニバーシティ)の取り組みを学んだことがきっかけで始められたそうだ。
さいたま市の子育てカレッジ運営委員長でもある大久保先生は、子育て世代の家族や、育休の間の子育てが孤立しないように支援したいとの想いを語った。地域とつながり、子どもを社会で育てるという意味で「家族支援」という言葉を何度も使っていたのが印象的だった。


参加者の様子

お友だちをつくって遊ぶ子、お母さんとボールプールで遊ぶ子、先生や学生たちと楽しそうに話をする子、それぞれが思い思いに過ごしている。グズって泣く場面もあるが、暖かく見守るおとなが存在している。
参加した親子を見ていると、子どもたちと保護者のどちらも落ち着いて穏やかな表情だった。きっと良い時間を過ごしたのだろう。

終了時間になっても、遊び足りない子が、名残惜しそうに部屋の奥へ引き返したり、片づけたおもちゃを出したりしているが、周りのおとなは「早く!」「もう終わりよ!」などと無理に急かすことはしない。少しすると、「帰る時間だ」と気がついて部屋を出て行く姿を「バイバイ♪またね」と見送る先生方や運営スタッフの姿も微笑ましい光景だ。


学生たちや先生方はどのように関わっているのか?

「ぽっけ」の現場には、こども学部の先生方がシフトを決めて必ず入ることになっている。
>中には、保育が専門でない先生も、子どもたちと接して回を重ねるごとに、熱心に取り組むようになったのだという。「子どもの力はすごい!」
学生は、1年生で必ず2回は参加することになっている。はじめは子どもとコミュニケーションが取れずに隅のほうで下を向いていた学生も、だんだん慣れてきて積極性を発揮するのだそうだ。


大学案内のパンフレットより


子育て世代の家庭に伝えたいことは?

「乳幼児期は、保護者に見守られて、すくすく育ってほしい。本来は親と離れないで、ぴったりくっついているのが良い時期ですが、社会の状況がそうはいかなくなりました。「ぽっけ」や保護者向けに実施される「ぽっけ講座」もあります。その時間帯は、保育士が子どもを預かるので、安心して講座に参加することができますよ。」と、保泉先生。

「最初は、浦和美園駅からの道路も繋がっていなくて、この辺りは4世代の世帯が多かった時代なので、"親子のひろば「ぽっけ」"に参加者が集まるか心配でした。今では道路が整備され、浦和美園地域に子育て世代が増えて出生率も上がりました。是非、「ぽっけ」を利用してほしいと思っています」と、これまでを振り返って大久保先生は話した。

そして、本当に「家族支援」を必要としている方に、このような場所があることを知ってほしい、情報が伝わってほしい、と切実な想いも語った。


最後に...

「ぽっけ」でみんなが楽しく過ごすために、いくつかの約束がある。
・「ダメ」(否定語)ではなく「○○しようね」と具体的な言葉で伝える
・お子さん同士のいざこざが起きたとき「ごめんなさい」を無理に言わせない
・おもちゃの取り合いになったときに見守る。手が出そうなときはすぐに止める
・おもちゃの遊び方はお子さんの気持ちを大切にする

写真や動画の撮影はNGなどのルールもある。
家庭内の日常では、親としてなかなか冷静になれないこともあるかもしれないが、「ぽっけ」の中では、子どもに寄り添うことを優先する環境がある。
この「約束」や「ルール」を意識して過ごす時間が親子にとって有意義だと感じた。

以前、浦和美園で取材をした際に、「この地域は子育てしやすいまちですよ」と教えてくれたママがいた。住宅やマンションが建ち、子育て世代の家族がどんどん増えている。
学校も公園も環境は整ってきたが、 "親子のひろば「ぽっけ」"という暖かい場所が近くにある。心強い存在ではないか!


関連情報

・親子のひろば「ぽっけ」
https://www.urawa.ac.jp/point/point_02.html

一覧に戻る

エリアで探す

選択してください